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・放射線の種類

放射線の種類 実体 発生原因 性質
大分類小分類
粒子線
(粒子の流れ)
アルファ線
(α線)
原子核から放出される陽子2個・中性子2個のかたまり。ヘリウム原子核。質量数は4。 原子核から放出される。アルファ崩壊。 紙も通らない。外部からは皮膚で遮れるので危険性はない。しかし体内に入った場合、 局所的に莫大な数の電離や励起が起り、大きな生物学的影響がでます。
ベータ線
(β線)
高速度の電子。 原子核中の中性子が陽子に変化する際に発生する。ベータ崩壊。 透過力と電離作用は、アルファ線とガンマ線の中間。外部から照射して皮膚の数mm下までしか届かない。
中性子線 中性子の粒子線。質量は陽子よりわずかに大で、電荷は零。 核分裂の際などに放出される。 中性子は電荷を持たない粒子であるため、物質中の原子核と核力による相互作用をします。 中性子線を物質に当てると、中性子は物質内の原子核と衝突を繰り返すうちにエネルギーを失って行きます。 原子核質量数Aとすると、一度の衝突で失う平均エネルギーの割合は1/(A+1)となります。 中性子の遮断に有効な、水やパラフィンは水素を沢山含んでいます。水素はA=1なので一度の衝突で半分のエネルギーを失います。 逆に、A=238のウランに当てたときは、1/239しか減りません。
電磁放射線
(エネルギーの高い電磁波。つまり光。電荷を持たないので電磁気力を使って方向を変えられない。)
ガンマ線
(γ線)
波長がおよそ10pmよりも短い電磁波である。 高エネルギー状態の原子核から放出される。 ガンマ線の遮蔽には鉛、鉄、コンクリートなどが使われる。遮蔽能力が最も高いのは鉛です。 電磁波であるガンマ線やX線に対しては原子番号の大きい、つまり質量の大きい元素ほど、透過を阻止する能力が大きくなります。 鉛は単位体積あたりの原子の密度が高く、放射線の遮断力に優れています。
エックス線
(X線)
波長が1pm - 10nm程度の電磁波のこと。 原子の外側のエネルギーの高い軌道にいた電子が,エネルギーの低い軌道に落ちる際に発生する電磁波だ。


・放射線

放射線(ほうしゃせん)とは、一般的には電離作用を有する高いエネルギーを持った電磁波や粒子線のことを指す。 電離作用とは、原子の軌道電子をはじき飛ばすことによって、原子を陽イオンと電子に分離する作用です。 放射線の人体への作用は、主に次の2つケースがある。一つは、DNAや細胞膜などの生体分子を直接傷つける場合です。 細胞に放射線があたると細胞の中で分子の電離や励起が起こります。 2つ目は放射線が水分子を分解し,その結果生じた活性酸素が生体分子を傷つける場合です。 活性酸素は強い酸化力があり、生体分子から電子を奪い化学構造を変化させてしまいます。 通常,後者の影響が大きい。


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